【分子構造学II】
(Molecular Physical Chemistry Ⅱ)
[物理学科 3群 B選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ]
[化学科 3群 A選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ]
[生物科学科 3群 B選択 科目(配当年次: 第3学年 ) ]
 
単  位:2単位 単位認定者: 松沢英世
授業期間: 後期  15コマ 科目分担者: 笠原康利
授業形態: 講義  週1コマ
 
授業の目的

自然界における多様な物質の構造や性質を理解することは自然科学の研究にとって大変重要なテーマである。本講義では、個々の分子(孤立分子)やそれらの分子集合体(結晶)の構造や性質を調べるための手法としての分子分光学(赤外,ラマン、電子スペクトル)、X線結晶学について基礎から学ぶ。また、その過程で登場する、分子や分子集合体(結晶)のもつ対称性(点群,空間群)に関する知識や適用方法を身につける。

教育内容

前半は、孤立分子の構造や性質を調べる手段としての分子分光学の基礎を学ぶ。モースポテンシャルは分子の化学結合の強さをどのように記述するか。分子の対称性を決める要素(対称要素)を学び、簡単な分子の点群への帰属の方法を説明する。指標と既約表現について説明し、分子の基準振動と赤外線吸収とラマン散乱の選択則を理解する。対称性を分子軌道に適用し、基底・励起状態の対称性と電子スペクトルの選択則を説明する。後半は、結晶構造を明らかにするためのX線回折法の原理および結晶構造解析の手順(格子定数の決定、原子座標の決定、結果の評価)を通して得られる情報について講義する。最後にX線結晶学以外の方法による分子構造の決定法について、X線回折法との違いに焦点を当てて概説する。

教育方法

配布プリントに沿ったパワーポイントによる講義、板書による講義を行う。必要に応じて映像を用いた補足説明を行う。

 
講義内容(シラバス)
項  目 担当者 授業内容

1回

分子のポテンシャルと分子振動

松沢

調和ポテンシャルと振動波動関数(エルミート多項式)について学ぶ。

2回

分子振動と結合エネルギー

松沢

非調和ポテンシャルと分子の解離極限について学び、振動分光学からどのようにして分子の結合エネルギーが求められるかを学ぶ。

3回

分子の対称性

松沢

分子がもつ形状は、分子がもつどのような対称操作(要素)によって特徴づけられるかを学ぶ。

4回

分子の対称性と点群 (1)
分子の点群への帰属

松沢

分子の対称性を調べ、「点群」へ帰属する方法を学ぶ。

5回

分子の対称性と点群 (2)
指標表と既約表現

松沢

点群の指標表は何を表しているのか、既約表現とその見方について学ぶ。

6回

分子の基準振動と対称性

松沢

分子の基準振動と対称性(既約表現)の決定方法について学ぶ。

7回

分子の基準振動と振動分光学

松沢

赤外線吸収とラマン散乱の選択則と交互選択則について理解する。

8回

分子の対称性と分子軌道

松沢

分子の対称性と分子軌道の対称性について学び、射影演算子を用いた対称化軌道の作成について学ぶ。

9回

分子の対称性と電子スペクトル

松沢

電子スペクトルの遷移の選択則を軌道の対称性に基づいて理解する。

10回

分子振動と電子遷移

松沢

対称性の上で禁制である電子遷移が、振電相互作用によって許容されるメカニズムを理解する。

11回

回折法と結晶構造

笠原

回折法と分光法、回折法の基礎、単位格子、晶系、空間群について学ぶ。

12回

結晶構造解析(Ⅰ) 格子定数の決定

笠原

格子定数の決定方法について学ぶ。

13回

結晶構造解析(Ⅱ) 回折強度測定

笠原

回折強度の測定によってどのように原子座標が決定出来るのかについて理解する。

14回

結晶構造情報

笠原

結晶構造解析からどのような情報が得られるかについて学ぶ。

15回

物質波の回折、気体・溶液散乱

笠原

電子線回折・中性子回折、気体・液体・結晶の回折法と得られる情報の異同について学ぶ。

 
到達目標

多様な物質の構造や性質を理解するため、孤立分子や分子集合体(結晶)の構造や性質を調べる手段としての分子分光学(赤外,ラマン、電子スペクトル)、X線結晶学の基礎を身につける。また、分子や分子集合体(結晶)のもつ対称性(点群,空間群)に関する知識や適用方法を身につける。学生諸君がとるべき具体的な達成目標は、レポート課題の題意(背景)を十分に理解した上で、個々の問題を自力で解けるようになることである。

評価基準

定期試験はレポート課題をベースにした問題を出題する。合格するにはレポート問題の60~70%以上の理解度の達成が必要である。評価は、レポート課題の提出状況、筆記試験の成績によって総合的に判断する。なお、欠席は減点する。単位取得に当たっては、前後半で別々に判断した総合点が、ともに60点以上の場合に合格となり、総合成績は、前半2対後半1の比率で平均して算出する。

準備学習
(予習・復習)

学習内容の理解を確実なものにするため、随時、レポート課題を出すので、可能な限り自力で解いて講義の復習に役立ててほしい。

その他

分子の対称性(点群)、結晶の対称性(空間群)を理解するには、分子中の原子や結晶中の分子を三次元的に捉えるとともに、点群、空間群で扱う記号や規則にも慣れる必要がある。講義にはしっかり出て、レポートは自分の力で解いてみることはもちろんであるが、それでも解らないところは、そのままにせず、速やかに質問をしに来る事を期待する。

 
  (書  名) (著者名) (出版社名) (定価)
教科書 資料を配布する。
参考書 アトキンス 物理化学 第8版(上),(下)(10版でも可)) P. W. Atkins,J. de Paula(千原・中村 訳) 東京化学同人 (上) 5,700円 + 税、(下)5,800円 + 税